コンプレッサー

ダイナミクス系エフェクトの中で、最も使われるものだと思います。

・効果について

リミッターとの違いは、適応音量範囲の広さと、圧縮比率が設定できる点にあります。

limiter_compresser

リミッターの場合、値を指定すると削る方法はリミッター任せになりますが、コンプレッサーは範囲を指定して圧縮比率も自分で決めます
これにより、音を明確に潰すことなく丸めることができます

この処理を施した後に全体の音を底上げすると、元の自然さをあまり崩さないまま音量を上げることができます。
「コンプで音圧を上げる」というのはこういう仕組み、やり方を指しています。

この仕組みから、Threshold(図の灰色線)を下限に振り切ると、圧縮する範囲が音量全体、つまり曲全体になるため、圧縮率の変更はそのまま一般的な音楽プレイヤーのボリュームと同じ機能になります。

mix72

扱いがやや難しいですが、マルチバンドコンプレッサーという帯域ごとに調整できるイコライザ式コンプレッサーもあります。

・基本的なパラメータ

○Threshold
圧縮する音量の範囲を設定する。

○Ratio
圧縮率、コンプレッサー機能の核の部分。
何分の1になるかの数を設定します。

○Attack
コンプレッサーのかかり始める速度。
元音のアタック感を残したい場合は多めに、すぐ潰したい場合は少なめに。

○Release
コンプレッサーのかかりを開放するまでの時間。
小さいと細かくかかるので大小差が生き、大きいと大雑把にかかるのでのっぺりします。

・活用シーン

音量の大きい部分だけを丸めて底上げしたり、保持したい音量をそのままに他部分を圧縮し引っ込めたりできるので、存在感、距離感の調整に有用です。

mix73

ディストーションやリバーブのように音が変質してすぐわかるものではなく、「音量」に限定される効果なので、最初のうちはわかりにくいです。
折れ線グラフで表示されるものは、感覚が掴みやすいと思います。

仕組みの正確な理解も必要ですが、ベロシティ、ボリューム(エクスプレッション)調整し、音量に適度なバラつきができた後にようやく効果的に使えます。
ダイナミクスのアプローチは複数あり、組み合わせる際は各々の効果をよく区別しておきましょう。

mix74

音圧を上げるためのエフェクトとしてよく紹介されますが、オーケストラやジャズなどで重視されるワイドなダイナミックレンジ表現とは相反する性質なので注意してください。

※当サイトへのリンクを歓迎いたします。
(管理人へのご連絡は不要です)
PAGE TOP