分数コードについて その1

ギターでよく使われる分数コードの解説です。

・2つの種類

分数コードは記述の一方法で、数学的なものではありません。
その個所の低音部と和音を同時に書いているもので、その低音部が単音か和音かで2種類に分けられます。

・分母が単音の分数コード

分母が単音の場合、F/C、Am/F#のように示されます。
分子はコード名で、分母は絶対的な音程がわかるように書かれ、ロックやジャズで出番があります。

通常、コード進行が書かれている譜面でのベースはコードの一番下の音、つまりルートを弾くことになります。

それが一番破綻がなく安定するからではありますが、このルート音から適度に外れることにより味わいのある響きをもたせることができます。

ルート音以外なら分数表記となるため、構成音、非構成音の2種類があります。
コードの構成音の場合は、オクターブを変えた「転回形」、アルペジオに近い弾き方とみなすことができ、実際響きもそこまで複雑になりません。

非構成音の場合は少し複雑な響きになります。
ギターは構造上このタイプの分数コードを弾きやすく、音色も使いやすいため用いられる楽曲が非常に多いです。

slash_chord1

○転回形との意図の違い

非構成音で少し疑問になるのが、単音の低音とセブンス(4和音)やテンション(5和音)との関係です。

たとえば、C/Bという単音の分数コードを考えると、和音Cの構成音はC、E、Gです。

これらをC3、E3、G3として考えると、この上にB3が乗ればセブンス(CM7)となります。
よって、これはB3のオクターブを変えた転回形なのでは、と思ってしまいます。

slash_chord2

しかし実際にB2、C3、E3、G3を同時に鳴らすと、隣り合った半音違いのBとCが濁って聞こえます。
さらに1オクターブ下げてB1にすると、低音Bの上にC、E、Gの和音が乗っている、不思議な響きになります。

どちらもCM7の変形とは全然言えない、と感じられたのではないでしょうか。

基本的にオクターブ違いの音は同音とみなされますが、高さの違いによってハーモニーは大きく変わります
特に低音部が和音と明確に離れていると、全く異なった役割を果たすようになります。

単音の分数コードはこれらの区別をつけるために使われている、と考えると、作曲者や記譜の意図がわかりやすくなります。
もちろん、この考え方は自身のハーモニー作成にも使うことができます。

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