演奏技能は必要? その1

初心者がよく言われることではこれも多いです。
なんでもいいから楽器を1つ弾けるようになるべき」といった主張です。

これは本当なのか、要点を分析して解説します。

・作曲環境の変遷

電子機器のなかった時代には、作曲という行為は演奏習得や専門教育を受けた上でしかまずできないものでした。
奏者=作曲者がそのまま成り立っていることが多く、他の人の曲もすぐにアドリブで演奏できるくらい、五線譜や理論の基礎が入っていて当然でした。

先に勉強していなければ、この世界に入ることすら困難だったわけです。

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一方、現在においては実物の楽器を用意しなくても、正確に録られた音をPCでシミュレートでき、理論などを知らなくても豊富な作曲補助機能を使って作曲することができます

DAW上で楽譜を書けばPCはそれを狂いなく何度でも演奏してくれるので、文句を言わない最高の演奏者を手に入れたのと同義です。

実際の演奏にしか出せない微妙なニュアンスはありますが、音源の技術も高まっているので不自由する機会はかなり減っています。
そういった環境的な意味合いでは、実物の楽器から入る重要性は薄くなっています。

・作曲する能力と演奏する能力は別物

混同されがちですが、これらは別物として捉えていただきたいところです。

先ほど指摘した通り、遥か昔の環境では楽譜を読み書きし、自分で楽器の音を出せないと曲を作りきるのは無謀でした。
しかし現在では、演奏は自分で苦労しなくてもPCがやってくれます

これにより、扱う人間は作曲そのものだけに集中することができるようになりました。
実際ジャンルにもよりますが、楽譜が苦手だったり、演奏できない作曲家というのも存在しています

事実、筆者もろくに演奏できません。

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演奏は、曲を再現する正確性、意図を汲んだ表現力、難解な場面も安定してこなす冷静さなど、繊細な技術が要求されます。
専門学校による訓練では特にこの部分を強化しますが、「曲を更に活かす」という目的から外れることはないでしょう。

一方作曲は、白紙の譜面に自分の中にある表現したいことを書き写して具体的な形にすることです。
なので全ては作曲する人の自由でいいですし、ある種自分勝手に書き進める意志が何よりも必要になります。

自分の想いで書き連ねることと、与えられたものをより良く再現することは違う技能、と考えておきましょう。

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