マスタリングの目的

時代を経て意味合いが移り変わっているところがありますが、概要と目的を整理しておきましょう。

・最終調整の工程

CDやDVDなどのメディアを大量生産する際にマスター、つまり原盤となるものを作る工程や、ネット配信などをする際の最終的な音源を作り出す工程を指します。

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現在は特に音圧調整において使われることの多い語ですが、複数の楽曲のクロスフェードや順番決定、規格の最適化といった作業もマスタリングの一環です。
これらは原盤作成の前に行うため、正確にはプリマスタリングと呼ばれるものです。

マスタリングの目的は、「その楽曲が使用される場面を想定し、最適な状態に整える」ことにあります。

よって、ミックスを終えてできあがった2mix(全てのトラックを1組のステレオに落とし込んだもの)に対して行われます。

アナログ・レコードの作成には顕著な音質変化が伴うため、マスタリングの意義も大きかったのですが、音楽環境のデジタル化が進んだため、そうした逆算を含めた調整技術の必要性は薄くなりつつあります。

音楽業界におけるマスタリングという言葉自体、音楽を取り扱う媒体が増えてから普及したものだったりします。

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音楽的な調整をする場合は、実際にやることとして編曲やミックスのほうが近く、話も通じやすいです。

・音圧について

日本においては特に、音圧競争というものを目にします。
他の曲に負けないくらい迫力を増すために、平均レベルをがっつり上げたものがよくマスタリング業者のサンプルとして載せられています。

人間の耳には、「大きい音ほど、細かい粗がわかりにくくなり、刺激的に聴こえる」という厄介な性質があります。
音楽にノりたいがために無意識に音量を上げてしまい、ゆっくりと難聴になってしまうようなケースはこの性質が起因しています。

この問題は商業シーンにおいても反映されています。
ジャンル、楽曲に対して相性の悪い音割れをさせてまで音圧を上げているものは、プロの界隈でも後を絶ちません。

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リミッター、コンプレッサー、ダイナミックイコライザなどで多少ピークを潰し、結果的に音圧を上げるというのはマスタリングの根幹でもありますが、やりすぎには気をつけましょう。

制作時は大きい音にしがちですが、小さい音でも破綻しないバランスにするのもマスタリングの重要な役割です。

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