M/S処理 その1
技術としては以前からありましたが、近年手軽に使用できるようになったりアーティストが多用したことにより広まった手法です。
・効果について
通常の音楽制作では定位、位置関係をステレオで考えますが、この処理はMid(モノラル成分)とSide(ステレオ差分)で考えます。
式で表すと、和信号であるモノラル成分はM=L+R、差信号であるステレオ差分はS=L-Rとなります。
よって、L=(M+S)/2、R=(M-S)/2となります。
この考えを元に、本来はトラックをオーディオ化、位相反転して重ねる(減算)などして効果を得るものですが、現在は挟むだけで処理を行ってくれるプラグインが多くあります。
具体的にどんな用途に使うのかというと、真ん中の音と外側の音を分離させて音量を調整する、ということになります。
LRを偏らせたところで、左右どちらにも共通して流れる音の成分はあるわけなので、その音を区別して加工したい時がこの処理の出番なのです。
イメージからひっかかりやすいですが、LかRどちらかに100%寄せても、計算式上Midが0になるわけではないことに注意しましょう。
ほぼどちらかからしか聞こえないような音には、M/S処理を差し挟まないほうが無難です。
聴覚上、特にイヤホンやヘッドホンなど頭内定位のリスニング環境では、この処理の効果が高いほど「耳に張り付くような」音になります。
・基本的なパラメータ
リミッター、コンプレッサーの機能を兼ねているものであることが多いので、パラメータもそれに準拠します。
○Threshold
閾値(しきい値)、圧縮する際の目安になる値。
○Ratio
圧縮率、Thresholdをオーバーした音をどれくらい圧縮するかを設定する。
○Makeup、Gain
元の音の音量を調整。
特にMakeupは音量を上げる、アンプの特性を出したりするのに用いられる。
○Release
エフェクトで増やされた音をどれくらい残すか。
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